真冬のソナタ~朝日新聞の記事に見る新大久保の厳しい現状と希望的な未来

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※17時追記
朝日新聞デジタルにも記事が掲載されました。

 本日(2014年9月10日)の朝日新聞朝刊(東京版)に新大久保の記事が出ています。

「真冬のソナタ 新大久保コリアンタウンブーム冷め 再びにぎわいを商店主ら一丸」というタイトルで、新大久保コリアンタウンのおかれる厳しい現状が取材されています。僕も求められてコメントを提供しました。

 詳しくは記事を見ていただければと思いますが、要旨としては冒頭に書かれた「新宿・新大久保のコリアンタウンが変わろうとしている」という部分がよく示していると思います。厳しい現状はあちこちで伝えられていますし、頻繁に足を運ぶ人であればよくご存じと思いますが、それを踏まえた未来的な部分を取り上げています。

 この記事におけるもっとも大きなニュースは、新大久保の韓国人経営者8人が、

「社団法人『新大久保韓国人商店街連合会』の立ち上げに向けて話し合った」

 という部分です。

 新大久保には韓国系の店が400店舗以上もひしめき合っていますが、これまでまとまった団体というのはありませんでした。ニューカマーの韓国人による全国組織「在日本韓国人連合会(韓人会)」が新大久保に事務所を構えていたり、民団東京新宿支部などが似たような機能を多少持っていたともいえますが、新大久保のすべての店が加入していた訳ではありません。また、これら以外にも民団韓食ネット協議会や、在日韓国飲食業協会といった団体が存在し、それぞれのアプローチから新大久保の発展に尽力してきましたが、全体の足並みを揃えるまでには至りませんでした。

 当然のごとく全体で何かしようと思っても連絡がうまくいきませんし、問題が起こったとしても共有できません。結果、仲のいい経営者同士で限定的なことをするしかなく、波及力に限界があるというのがいままでの状況でした。

 それを今回、ようやくなんとかしようと動き出したのが大きな意義です。

 ただ、あくまでもまだ「立ち上げに向けて話し合った」だけで具体的な形にはなっていません。これからがいちばん大事なのですが、関係者の話を聞く限り、けっこう期待が持てるのではないかと感じています。新大久保には何人かのキーパーソンと言える社長さんがいますが、だいぶ幅広く連携が取れているような感触がありました(今回の立ち上げにかかわっている訳ではないのであくまでも推測ですが)。

 正直、それでも形にするまではまだまだハードルが高いと思うのですが、無事に乗り越えられるなら新大久保は変わり始めると思います。

 個人的には記事内にコメントとして出てくる、「『地域の日本人の商店街連合会と連携していこう』と意見が出た」という部分を重視して欲しいですね。それもプラス面を考えるのではなく、まずマイナス面の解消から始めて欲しい。

 山積みの問題を解決する第1歩になることを期待します。

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 ところで、もともとこの取材は「大使館」の閉店が大きく報道されたことをきっかけのひとつとするようです。韓国の聯合ニュースは社長のコメントを受けて、見出しで「ヘイトスピーチ影響」と強調しました。日韓関係の悪化で新大久保が厳しい、という話を確認する狙いがあったのでしょう。

 僕は記者さんからの取材に対し、以下の2点を強調しました。

・日韓関係の悪化以前から観光客は減り始めていたこと
・その理由は一気に増えた観光客目当てに似たような店ばかりが増えたこと

 日韓関係の悪化が新大久保の景気に大きく影響したのは事実ですが、それ以前にもっと根本的な問題があることを指摘したつもりです。そのあたりの話は『韓国料理には、ご用心!』(三五館)に詳しく書いてありますが、2012年10月に書いたコチラの記事でも少し触れています。

 記事内ではそれを踏まえ、「おざくきょ」をひとつの例として、画一的でない新大久保を目指す動きについても紹介しています。危機感の中で、各経営者さんたちがいちばん苦心している部分ですが、これこそ新大久保の魅力に直結する部分なのでおおいに期待したいですね。

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 希望の一端として、こんなお店を最後に紹介したいと思います。9月12日のオープンを目指す「カンホドン678チキン」の日本進出1号店。1階ではなく工事中の2階部分に入る予定です。

 この写真を昨日Twitterにアップして、オープン予定日を書きこんだら、現在までに500リツイートを超える大きな反響がありました。これからオープンする店に、これだけの注目が集まるというのは、新大久保もまだまだ捨てたものではないということ。魅力的なコンテンツに人が集まることを証明しています。

 ただ、韓国でのチキンブームを受けて、新大久保がチキンだらけになりかけているのは気になるところですけどね。

 画一的な新大久保を脱却する工夫にみんなが群がると、結局は元の木阿弥。新大久保に限らず、なにか流行ると消費しつくすまでみんなで乗っかるのが韓国らしさでもありますので、一緒になってそれを楽しむというのもひとつの面白さではあるのですが。

 ともあれ憂慮しつつも楽しみながら、僕も新大久保ライフを続けていきたいと思います。

 今日もこれを書き終えて新大久保に繰り出す予定。韓国ファンのみなさん、頑張る新大久保でお会いしましょう!

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